オントロジー工学に基づく機能的知識体系化の枠組み
來村徳信,溝口理一郎
人工知能学会論文誌,17(1), pp.61-72, 2002.

設計図などに客観的に明示化されやすい構造や形状などの設計情報に比べて, 概念設計段階に重要な役割を果たす機能的な知識は概念的であることもあって 設計者個人が暗黙的にかかえこんでおり,共有が進んでいないのが現状である. また,そのような知識を他の設計者が利用できるように一般性と一貫性を持っ て記述することは容易ではない.その原因として,対象世界の捉え方が領域に よって異なってしまいがちであることと,振る舞いと明確に結びつけられた一 般的な機能概念の整備がなされていないことを挙げることができる.このよう な問題を解決するためには,設計知識を領域を横断して共有できるような記述 を可能にする計算機的枠組みが必要不可欠である.そこで,本研究ではオント ロジー工学に基づいて,対象とする機能的な設計知識を規定する「基本概念と その体系」(オントロジー)の構築を行う.まず,装置概念を中心として対象 を捉える際の視点を提供する拡張デバイスオントロジーを提案する.既存の装 置を中心とするオントロジーの導管や媒体といった概念を精密化することで, 機構系を含む広い対象領域を同じ視点から捉えることが可能になり,また分野 間の違いを明確化することができる.次に,装置の機能を表す概念を提供する 機能概念オントロジーを示す.機能の効果と実現を分離することによって機能 概念の一般性を高めるとともに,振る舞いと計算機的に明確に関連づけられた 機能概念の定義が可能であることを示す.設計知識の背後にあるこのような基 本概念の明示化は,対象の捉え方を規定し記述のための機能概念を提供するこ とを通して,知識の体系化のための共通基盤となり,知識の一貫性と一般性の 向上に貢献する.構築したオントロジーのこのような効果についても述べる.

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